『ポケットモンスター ソード』感想と最近のポケモンに対して思うこと

以前の記事でネタにした『ポケットモンスター ソード・シールド』通称ポケモン剣盾の不具合については2020年1月20日現在も公式からアナウンスはありませんが、個人的に色々と思うことがたくさんあるので、改めて作品を“でんどういり”までプレイしてみた感想と、最近のポケモンに関する諸問題(リストラや不具合の件など)に対しての持論を綴ろうかと思います。

でんどういり後は不具合が怖くてしばらく起動しておりません。

あくまでも私個人の感想・持論です。決して本作及び本作を楽しんでいる方への批判等を目的としたものではないということだけはご理解いただけますと幸いです。また、多少のネタバレや感情論も含まれると思いますので、苦手な方はご注意ください。

ちなみに、ポケモン本編シリーズは『ウルトラサン・ウルトラムーン』以外は一通り遊んだことがある身であります。それゆえに過去作との比較も多少はありますのでご容赦ください。

感想

まず、本作の感想から。

以前の記事でもざっくり触れましたが、結論としてはあまりおもしろくなかったです。

お気に入りのポケモンを仲間にして、育てて冒険・バトルするという基本的な部分はいつもの『ポケモン』なので、その辺は可もなく不可もなくといったところです。ただ、楽しいと思えることよりも不満に感じる部分が多かったです。

ストーリーについて

個人的に『ポケモン』本編のストーリーにそこまで期待はしていないので、これに関しては可もなく不可もなくといったところでしょうか。ただ、とある人物が突然黒幕化したりと、構成の甘さが目立ちました。

冒険について

今作もひでんわざがありませんし、サン・ムーン(第七世代)のようなポケモンライドもないので、ポケモンの力を借りて一緒に冒険する感覚がありません。マップ間の移動もタウンマップを開いて、そこで空飛ぶタクシー屋さんを呼んで~といった仕様になっています。第六世代までは手持ちのポケモンを選んで“そらをとぶ”を選んで移動をしていたので、そのクセで今作でもついついメニューからポケモンを選んで移動しようとしてしまいました。

また、そらをとぶだけでなく、水上を移動する際もポケモンの“なみのり”を使うことがなくなってしまったので、バトル以外でポケモンが活躍する機会が減ってしまったことに物足りなさを感じました。

ダンジョンと言えるような場所も少なく、今作ではあなぬけのひも(ダンジョンから瞬時に脱出できるアイテム)が無制限に使えるようになったにも関わらず、ほとんど使う機会がなかったです。フィールド探索の楽しみを感じたのは今作の目玉のひとつであるワイルドエリアくらいでしょうか。他、謎解き要素もジムチャレンジくらいしかなかったのが寂しいです。

バトルについて

バトルの新システムダイマックスについて。ポケモンが1試合につき3ターンの間巨大化しHPが増えたり、技がダイマックス技に変化するといったものですが、もともと覚えている技が技のタイプに合わせて変化するだけでレパートリーが少なく、少々大味かなと思いました。とはいえ、通常だと発動に2ターン有する技(ソーラービームなど)も1ターンで発動できる技になったり、HPの上限が増えることによってピンチを切り抜けたりできるので、新しいバトルの駆け引きが楽しめるようになったと言えば良点なのかなとも思います。

ただ、一部のポケモンには通常のダイマックスとは異なるキョダイマックスの姿と専用技が用意されています。第六世代のメガシンカや第七世代のZわざはアイテムを持たせればその種族なら誰でもできるといったものでしたが、 キョダイマックスは特定の個体によってできるポケモンが限られております。その個体のはワイルドエリアにてレイドバトルをしていたら低確率で出現するというもので、ポケモンの性格やステータスにもこだわりたいやりこみ勢にとっては厳選が大変だと思われます。

ポケモンについて

新ポケモンについて。ガラルのサニーゴや、合成化石ポケモン(通称カセキメラ)のデザインのデザイン及び設定が好ましいとは思えませんでした。特にサニーゴについては「古代のサニーゴの死んだ姿」と公式で明言されており、ポケモンの亡骸をリージョンフォームにしてしまうのはいかがなものかと思いました。旧作からのサニーゴファンははたしてどういう心境だったのでしょうか……

ポケモンの「死」についての描写は初代からありましたが、決して受け狙いだとか亡骸を弄ぶような内容ではありませんでした。

合成化石ポケモンについても、バラバラのパーツを自由に組み合わせてポケモンを復活させるというアイディア自体は否定しませんが、どの組み合わせで復活させても生きていくのが困難でありそうなポケモンになってしまうのがなんだかかわいそうで、復元を躊躇してしまいます。せめてデザイン・設定共々生きていくのに支障がなさそうなものになるよう配慮してほしかったです。

新しく進化系が追加されたポケモンについて。初代からカモネギが好きだったので、今作より進化系が追加(といってもガラル地方限定ですが)されたのは嬉しかったのですが、もう少しかっこよくしてほしかったですね(^^;)

今作のディレクターさんはネットユーザーの反応にも気をつけながらゲームを作ったとのことでしたが、ネット受けのためにポケモンのデザインをあえて変な感じにするのはいかがなものかと思います。ネットで話題になるのは一時的なものではありますが、ポケモンの存在自体はこれから先も長く残るものですし、後世のプレイヤーからも愛されるようなデザインを心掛けてほしいものです。

その他のお楽しみ要素について

シリーズ通してきのみを栽培して集めるのが地味に好きな要素だったので、今作では自由にきのみを栽培できないのが不満でした。きのみを自由に栽培できないのは第五世代でも経験しましたが、あれらは一応ネット連動のポケモンドリームワールド(現在はサービス終了)で一応はきのみの栽培ができました。今作では自由に栽培できないのに加えてきのみのなる木を揺らすとたまに妨害してくるポケモンが出現するので、確実性・効率が下がりました。せっかくきのみを販売しているお店も存在しているのですから、栽培できないのならばそちらで色んな種類のきのみを自由に購入できるようにしてほしかったです。

ポケモンと遊べるキャンプとカレー作りについては楽しかったのですが、おもちゃの種類が少ないのですぐ飽きてしまうのが難点ですね。冒険を進めたりお店で購入しておもちゃが増えていくのだろうと思っていたけれどそんなことはなかったです。

【2020年2月17日追記】カレー図鑑を完成させると新しいおもちゃが入手できるようですが、カレーの食材もバージョンによって違いがあるようで、ソロプレイヤーには厳しい仕様です(>_<)

カレー図鑑も100種類以上を謳っていながら、いざふたをあけてみると同じ具材のカレーで微妙に味を変えたものばかりでした。それだけなら良かったのですが、特定のカレーの図鑑テキストで「邪道」だとか「ジャンク」とか罵ってくるのは気分があまり良くないです。

感想まとめ

ストーリーやゲーム性は可もなく不可もなく“いつものポケモン”です。ダイマックスについては特融のバトルの駆け引きが楽しめる点ではこれはこれでアリかなと。ただ、特定のポケモンのひいきが目立つのと、個体の厳選が大変そうでライトユーザーだと気軽に楽しめなさそうと感じました。

マップに関してもワイルドエリアに全力を注ぎこんで、その他の町やダンジョンの造り込みが甘いように感じました。

キャンプなどポケモンとふれあったりカレーを作るのはまあ楽しかったのですが、楽しい気分を台無しにするようなカレー図鑑のテキストにがっかりしました。

かわいい、かっこいい魅力的な新ポケモンも多数いますが、倫理観が疑われるような設定のポケモンが気になって素直に楽しめなかったです。

良いところが全くなかったわけではありませんが、それ以上に悪い点が目立っていたのが残念でなりません。せめて悪趣味テキストが無く、不具合等について公式が早めに対処してくだされれば現在もゲームを起動して、コツコツポケモンを育てたりアイテムを集めたりでスルメゲーと思える程度には楽しめたことでしょう。

昔の『ポケモン』は製作者の「こんなゲームが遊びたくて作った」「こんな生き物がいたら良いのに」といった思いが伝わってくるようなものだったのに、最近のポケモンはもう、製作者が『ポケモン』のネームバリューに胡坐をかいて楽してお金儲けをしたいという邪な気持ちがだだ洩れしています。

製作者及びゲームフリークも企業としてゲームを作っている以上、お金儲けのことを考えるのは当然ですし、決して悪いことではありません。ですが、顧客をバカにしたようなものを作って売るのはいかがなものかと思いました。

諸問題に対して思うこと

現在ポケモン関係で問題視されているあれこれについて。主な問題点は今後のポケモンシリーズ本編ではシリーズ通しての全てのポケモン(約900種類弱)がそろわないこと、現在剣盾を遊んだ複数のプレイヤーがゲーム及びSwitch本体などで不具合が確認されているにも関わらず公式が動かないことの2点について思うことです。

リストラについて

正直ポケモンでリストラという言葉を聞きたくなかったです。ガラル地方には生息していないという設定ならば理解できますが、今回のリストラという言い回しはポケモンの世界そのものに存在しないことにされるようで憤りを感じます。ポケモンの数や技、とくせいが増え、それらの管理が困難になってきたのでしょうけど、もう少し納得のいく言い回しができなかったのかなと思います。

そんななか、2020年1月9日配信の『ポケモンダイレクト』にて本作のDLCが発表されました。DLCではマップ、アイテム、そして新ポケモンを含む200種類程度のポケモンのデータが追加されるとのことです。

2019年6月時点ではDLCもアップデートも不可能(後に未定と訂正)と公式はコメントされていたようですが、実際ゲーム発売の11月から2カ月で発表できたということはDLCの構想自体、本当は剣盾本体開発中から構想があり、ポケモン全種類登場させる余裕もあったのかもしれません。

現在、ゲームフリークはリメイクやマイナーチェンジも含めてポケモン作品を1年に1作リリースするスケジュールで動いているようです。

それゆえに1つの作品にかける製作時間及び工数を減らさざるをえないようですが、消費者の立場から言わせてもらいますが、消費者側もそんなにゲームをたくさん遊ぶ時間も無いので、時間をじっくりかけても良いので、なるべくポケモンをリストラさせずに不具合の無いゲームを丁寧に作り上げてほしいです。

不具合について

現在(2020年1月20日)もまだインターネット上で報告されているポケモン剣盾由来だと思われる数々の不具合(詳しくはこちらを参照)について、公式からの表明がありません。私も気になってソフトの発売元である任天堂に問い合わせてみましたが「現状、お知らせいただいたような情報はございません」とのことでした。

実際に不具合に見舞われた方は少数かとは思いますが、それに対してせめて「調査中です」と言ってくれるなど、事実に対して真摯に向き合う姿勢を見せてほしかったです。

大手企業はネット上の悪評は同業他社の工作としてスルーする傾向があるそうですが、それらの中には決して悪意のあるガセ情報ばかりではなく、企業に対する消費者からの思いからくるも含まれることを忘れてほしくないです。とはいえ、あまりに悪質なクレームや誹謗中傷は良くないですけどね。

おわりに

自分史上かなりの長文になってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございます。

不満点ばかり目立ちますが、これらはちゃんと公式サイトのアンケートにも寄せてきました。

正直な話、ポケモン及び関連企業には失望しかけています。それでも、なんだかんだ言ってポケモン自体はまだ好きなので、今後も『ポケモン不思議のダンジョン』などの外伝作品は購入するかもしれません。

ですが、今作のDLCを含め、ゲームフリーク勢の本編は場合によっては今後購入を控えてしまうかもしれません。

今作をプレイして感じたのですが、ゲームフリークは本当はもう『ポケモン』を作りたくないのかもしれません。(だけどポケモンの名が無いと売れないという……)

近作(サン・ムーンあたりから)ポケモン図鑑のテキスト(メガシンカに否定的)やキャラクターのセリフ(やたら年配者を貶すような感じのもの)などから古参のファンを切り捨てたいのが何となく伝わってきて辛いです。

「いつまでもこんなゲームで遊んでいるなよwww」とか思いながら作っているんだなーと考えると、子どもの頃のポケモンとの美しい思い出まで汚された気がしてなりません。

また、特定のポケモンの贔屓もしくはいじりが目立つようになりました。贔屓についてはポケモンの総数を考えるとやはりいくつかに絞ってPRをせざるを得ないというのは仕方ないとは思いますが、まるで「みんなこのポケモンが好きで当然!」みたいな売り方はいかがなものかと。いや、私もそのポケモン自体は好きですし嫌いなポケモンはほとんどいませんけどね……

いじりに関しては論外ですね。いつぞやの総選挙で最下位になったポケモンですとか、SNSでのクソコラ祭りに公式がまるで便乗したかのように透過画像を提供したり。そして今作のサニーゴや合成化石ポケモンは大変不快に思いました。すべてのポケモンにファンがいるということを忘れないでいただきたいものです。

昨今、娯楽の数は昔に比べるとはるかに増えたと思います。しかし、消費者側もそれらを消費する時間が減ってきています。そんな中、わざわざ“ポケモン”というコンテンツを選んで時間とお金をかけて楽しんでいる人たちがいることを公式には忘れないでいただきたいです。

これからも“ポケモン”というコンテンツを安心・安全に楽しめるよう、一刻も早く対処してくださることを願います。